エレキギターを弾く人なら、誰もが一度は憧れる「フェンダーカスタムショップ(Fender Custom Shop)」。 ギター歴40年の私にとってもやはり特別なオーラを放つ別格のブランドです。
ただ、言うまでもなく価格は超高額。新品なら30万円〜50万円以上は当たり前の世界です。「一生に一本の相棒」として絶対にハズレを引くわけにはいきませんよね。
ネット上では「最近のカスタムショップは木材の質が落ちた」「〇〇年代が至高」などいろんな噂が飛び交っていて、高い買い物に踏み切る前に「本当の当たり年・ハズレ年」が気になってこの記事に辿り着いた方も多いはずです。
結論から言うと、フェンダーカスタムショップには明確に「品質が神がかっていた当たり年」と「少し注意が必要な時期」が存在します。
この記事では、長年数多くのギターに触れてきた私の視点と、行きつけの老舗ギターショップ店主から聞いた「リアルな現場の声」を交えて、年代ごとの特徴や見分け方をズバリ解説します。
最高の一本に出会うために。そして絶対に後悔しないために、ぜひ最後までじっくり読んでみてください。
老舗ギターショップ店主に聞いた「フェンダーカスタムショップの当たり年」について
まずは、私の行きつけのギターショップ店主から聞いた「リアルな見解」からご紹介します。
単純に製造年だけで言うと1987年~1995年、1996年~2003年、2012年~2017年の3つの時期に製造されたものがフェンダーカスタムショップの当たり年です。(その深い理由については、この後じっくり解説しますね)
でもそれ以上にカスタムショップを選ぶ際の大切なポイントは、意外にも「見た目(ルックス)」なんだそうです。
もちろん弾き心地やサウンド、年式やスペックを吟味するのは大前提です。ただ最後の決め手は「どれだけそのギターの顔に惚れ込めるか?」が重要になってきます。
店主曰く「一目惚れして買ったギターほど、プレイヤーはずっと大切に弾き込むから」とのこと。
大切に弾き込めば、木材の鳴りもサウンドも、時間と共に自分好みに育っていきます。だからこそ「迷ったら、直感的に見た目で惹かれる方を選ぶ」のが、一番後悔しない選び方なのです。
そもそもフェンダーカスタムショップとは?
フェンダーカスタムショップ(Fender Custom Shop)は、フェンダー社が威信をかけて展開する最高峰のエレキギター&ベースブランドです。
熟練のマスタービルダー(最高位のギター職人)たちがコンセプトに合わせて一つひとつ手作りしており、サウンドやデザイン、木材の選定まで一切の妥協なく製造しています。
ヴィンテージギターを忠実に再現した「タイムマシーン・シリーズ」や、有名ギタリストとのシグネイチャーモデルなど、様々なラインナップが展開されています。 価格帯は30万円台〜数百万円と高額ですが、希少価値が高いため後々プレミア価格が付くケースも多いのが特徴です。
一生に一本は持ちたいという人も少なくない、ギターファンにとって憧れのギターです。
フェンダーカスタムショップの当たり年は?
フェンダーカスタムショップの当たり年は、主に「木材の品質」「職人の技術」「フェンダー社の方針の変化」などが関係し、大きく3つの時代に分けられます。
それぞれの当たり年の特徴を見ていきましょう。
【当たり年1】初年度1987年~1995年(カスタムショップ黎明期)
1つめの当たり年は1987年〜1995年のフェンダーカスタムショップ黎明期(れいめいき)です。
この時代は技術と希少性の高さが評価され、今なおカスタムショップ製品の中でも最も人気のある時代です。
1987年にフェンダーカスタムショップが設立され、初代マネージャーのジョン・ページ(John Page) が、厳選された少数精鋭の職人を収集。
その中には、後にマスタービルダー(最高位の職人)として名を馳せるフレッド・スチュアート(Fred Stuart)、J.W.ブラック(J.W. Black)、ユリ・シスコフ(Yuriy Shishkov) などがいます。
フェンダーカスタムショップとしてのブランドを確立するために、ジョン・ページの品質管理のもと精鋭のギター職人が製造に現在の3〜5倍の時間を費やしたとも言われています。
またこの時代は製造本数も少なく、また厳選された木材が使われており、その希少性の高さから現在では高額なプレミア価格で取引されるものが多いです。
90年代マスタービルトとマスターグレードは人気
特に90年代のMasterbuilt(マスタービルト) モデル やMaster Grade(マスターグレード)モデルは高品質と定評があります。
Master Grade(マスターグレード)モデルは、その加工方法や組込み工程まで50年代60年代を再現したと言うこだわりようだったと言われています。
【当たり年2】1996年~2003年(黄金期)
2つ目の当たり年は1996年〜2003年です。
この時代はフェンダーの品質管理体制が安定し、カスタムショップ製品の評価がさらに上がった時期です。
木材のストックが豊富で質の高いアルダーボディやメイプルネックが使われ、また1996年はフェンダー創業50周年記念の影響で高品質なモデルが多く生産された時代で、希少性の高いギターやベースの宝庫です。
また2000年前後の”Relic(レリック)モデルも非常に完成度が高く定評があります。
Relic(レリック)モデルとは?

※写真出典元:石橋楽器ブログより
レリックモデルとは、ヴィンテージギターの風合いや弾き心地を再現した人気シリーズで1995年にフェンダーカスタムショップから公式に登場しています。
ジョン・ページは、人工的にエイジングを施した「レリック(Relic)」加工のコンセプトをフェンダーギターに導入し、当時としては画期的なこのアイデアが多くのギターファンの反響を呼びました。
その後レリックモデルのギターは、品質改善を繰り返し特に2000年前後の製品はその品質に定評があります。
【当たり年3】2012年~2017年(近年の当たり年)
3つ目のフェンダーカスタムショップの当たり年は2012年〜2017年です。
2012年にはヴィンテージ仕様をより忠実に再現するためのアップデートが行われ、また品質管理体制がさらに向上したことで品質が安定した時代です。
2017年頃までは良質な木材のストックが豊富で評価の高い個体が多いと言われています。
中でも2013年以降のJourneyman Relic(ジャーニーマンレリック)モデルは特に人気があります。
フェンダーカスタムショップのハズレ年は?
一方フェンダーカスタムショップのハズレ年は2004年〜2008年と言われています。
2004年からカスタムショップの生産本数が増加し、また良質な木材のストックが減り個体ごとの重量や鳴りなど品質のバラつきが目立つようになった時期です。
中でも2005年頃のTime Machine Series(タイムマシーンシリーズ)は、特に当たり外れがあると言われています。
また2018年以降はフェンダー全体の経営方針によりコスト削減が行われ、その影響で木材の品質にバラつきが増えたとも言われています。
近年フェンダーカスタムショップの販売価格は高騰していますが、ギターショップ店員に聞くと「必ずしも品質が高いとは言えない」とのこと。
ただ余談ですが、2018年にフェンダーカスタムショップから発売されたあの人気ギタリストcharさんのシグネイチャーモデルを弾いたことがあるのですが、めちゃくちゃいい音でした。
音の好みは人それぞれですが、2018年以降の製品も品質が高いものはもちろんたくさんあるので、実際にギターを手に取ってご判断ください。

「CHAR 1959 STRATOCASTER® BURGUNDY, JOURNEYMAN RELIC, MASTERBUILT BY PAUL WALLER」※写真出典
フェンダーカスタムショップの製造年をシリアルナンバーで調べる方法
アメリカ製フェンダーギターやベースは、基本的にシリアルナンバーから製造年代が判別できるようになっています。シリアルナンバーはネックのヒール部分(ボディとネックの接合部)に記されているのでご確認ください。
※ただし1973年〜1981年に製造されたギター・ベースには一部このルールが反映されていないものもあります。
フェンダー社公式サイトに年代別のシリアルナンバー一覧があるのでご確認ください。
自分のフェンダーカスタムショップ中古ギターの市場価値を調べる方法
フェンダーカスタムショップのギターやベースをお持ちで「自分のギターは今いくらぐらいなのか?」と気になる方もおられるのではないでしょうか?
自分のギターやベースの価格を知りたい場合は、楽器の買取専門店で査定してもらうのが簡単です。
ネットから予約すれば希望の日時に自宅まで来て、無料で価格査定してもらえます。
売るか?売らないか?は査定額を見てから判断できます。ちょっとでも納得いかなければその場で断るか、「ちょっと考えます」と言って他の業者を探してもOKです。
あと余談ですが、もし国産の中古ギターやベースをお持ちの方は、今のうちに一緒に査定しておくことをおすすめします。
というのも、最近ジャパンヴィンテージブームで古い国産のギターやベースの価格が異常なほど高騰しているからです。
特に価格高騰しているのはフェンダージャパンですが、グレコ・トーカイ・ヤマハ、アリアプロⅡなど、少し前なら数千円だったものが今は異常なほど高額で取引されています。
価格高騰の要因として、2022年ごろからYouTubeなどで海外のギターファンが日本製ギターに注目し始めた影響が大きいようですが、日本製ギターの品質の高さや円安により外国人にとって破格の値段で購入できることが知れ渡り、中古市場価値が急激に上がっています。
例えば当時の定価が5万円のGreco EG500が8万円台で売られていたり、フェンダージャパンの定価6.5万円のストラトが22万円以上で売られていたり。
バブルとも言えるほどの価格高騰ぶりですので、今のうちに査定額だけでも調べておくと良いでしょう。
フェンダーカスタムショップはどこで買うのが良いか?
フェンダーカスタムショップのギターやベースを購入する場合は、楽器店に行って実際に試奏してから購入されることをおすすめします。
フェンダーカスタムショップは30万円以上の高額なものが多く、またそれぞれ弾き心地や音色にもかなり個性があるので、ネットでの購入はリスクが高いです。
特に中古品(ヴィンテージ)を購入する際は、実際に弾いてみてコンディションも含め納得しないと後で後悔する可能性があります。
ただしヴィンテージ品で探しているギターやベースについては、すぐに売り切れていまう可能性もあるためネットでの購入も必要かもしれません。
もしネットで購入する場合は、少なくともイシバシ楽器やイケベ楽器店などの有名なギターショップでの購入が安全です。
Amazonや楽天でもフェンダーカスタムショップのギターやベースが売られていますが、購入する場合はFender公式ショップ等が出品している製品を選ぶなど、できるだけ慎重にしてください。
とにかくフェンダーカスタムショップは高額ですので、慎重に吟味してからご購入ください。
フェンダーカスタムショップの評判は?
フェンダーカスタムショップのギターやベースは、「最高峰のフェンダー」として世界的に高く評価されています。
ただモデルや製造時期、個体差によって評価が分かれることもあるため「良い評価」「悪い評判」をご確認ください。
良い評判(メリット)
ハンドメイド
選び抜かれた職人により一つひとつ手作りされており、一般のフェンダー USAライン(アメリカ製量産品)よりも木材や仕上げのクオリティが高い点が高く評価されています。
ヴィンテージ系モデルの再現度が高い
50s・60s・70sなど確年代のオリジナルフェンダーの弾き心地や音色を忠実に再現されている点も定評があります。
Relic(レリック)加工がリアル
ヴィンテージの風合いを再現したJourneyman Relic, Heavy Relicなどのエイジング技術が高く、写真や映像で見た憧れのプレイヤーの名器そっくりのギターを手に入れることができます。
ネックシェイプやピックアップのカスタムが豊富
ネックやピックアップなどプレイヤーの好みに合わせたオーダーモデルが可能な点も人気のポイントです。
悪い評判(デメリット)
価格が高すぎる
近年フェンダーカスタムショップ製品は年々値上がりしており、コスパが悪いと感じる人も増えています。特に2018年にフェンダー社の企業方針としてコスト削減が実施されてから、少し悪い印象を持つ人もいるようです。
個体差が大きい
カスタムショップのギター・ベースは全て手作りですが、手作業ゆえに同じモデルでも当たり外れがあるという意見も見られます。
レリック加工が好みが分かれる
ヴィンテージギターの傷や変色を忠実に模倣するレリック加工もカスタムショップの特徴ですが 「わざと傷つけたギター」を好まないという人も一部おられます。
フェンダーカスタムショップのギター・ベースは、個性的がゆえに好きな人、嫌いな人それぞれの意見も見られます。
ただ一括りにフェンダーカスタムショップといっても異なる様々なタイプのモデルがあるため、個体ごとに自分の目で見て評価するのが良いでしょう。
【まとめ】フェンダーカスタムショップの当たり年は、後で値上がりする可能性が高い
フェンダーカスタムショップは、世界中のギターブランドの中で「最も価値が落ちにくく、プレミアがつきやすい資産」でもあります。 今回ご紹介した「当たり年」のモデルは、時間が経つごとに価値が上がっていくことも珍しくありません。
最高のサウンドと所有欲を満たしてくれて、いざという時の資産にもなる。そう考えれば、「一生に一本、思い切って手に入れる」という選択肢は、ギタリスト人生を間違いなく豊かにしてくれるはずです。
歴史に残る最高のギターに育てるためにも、ギターを選ぶ際は見た目(ルックス)にもこだわり大切に使いづづけられる1本をお選びください。

